■22日深夜■
東京を出発。
「スーパービュー踊り子」号にて西へ。
■23日未明■
沼津の漁港に到着。土曜日のため魚市場は静か。漆黒の海にちょっとした恐怖を感じる。
海岸沿いに沼津から南下。
■同日朝6:00■
戸田を通過後、霧香峠の駐車スペースで1時間程車中仮眠。皇帝とえびが早々に寝入ってしまったのでおれはひとり外でうろうろ。
名前の通りの濃霧に包まれた幻想的な山道。とか言ってる余裕はなく危険なドライブ。
えび、車酔いに苦しむ。
■8:00■
修善寺温泉町に到着。
眠気よりも猛烈な空腹感に襲われるが温泉郷の朝はのんびり明ける。駐車場、それからメシを食えるところを探してさまよったあげくにようやく営業中のスーパーを発見。
カップ麺とお茶を購入して川沿いの小径、ベンチに腰掛けて食べているとゴミ袋をぶらさげたおじさん登場「おれがゴミを捨ててやるから早く喰え。ほれ喰え。ほれ」急かされてえび焦る。
修善寺にて入浴。温泉最高。
ほとんど貸し切り状態の早朝の温泉にじっくり浸かり、休憩所で仮眠。えびも皇帝も横になると早々に寝入ってしまったので「がんばれタブチくん」「幽遊白書」「野球狂の詩」など読んでひとりまったりと過ごす。
戸愚呂の去り際はおとこまえ過ぎる。
■12:30■
伊豆半島を横切って伊東に抜ける。
宿泊先を決めていないので伊東駅前で観光案内所を探していると真黒に日焼けしたおっさんが素早くおれたちに近付き「宿さがしてるんだろ。宿泊先の案内所はこっちだ、来な」と一人ですたすた歩きはじめたのでとりあえず後について薄暗い事務所に通される。
「(予算どのくらいに設定しようか?)」
「(んー、5,000円台までかな)」
という相談を無視しておっさんが持ち出してきた料金表は最低ランクが10,000円の価格設定。とてもじゃないがそんなに出せん。
「いくらで泊まろうと思って来たんだ」
「いやー、この、10,000円の宿でも厳しいっス。素泊まりでいいしきれいなホテルじゃなくていいんでもっと安いところないですかね」
「ねえよ。よしわかった。この13,000円の宿を11,000円にしてやるからそこに泊まれ。ここならプール完備だ」
プールは要らんし10,000円も出せんと言ってるのに全く話にならんので素面で断って他をあたる事にする。
駅の中にある観光案内所で大勢の客を相手にしているのはたったひとりのお姉さんだった。
「あの、素泊まりでいいんで、5,000円くらいで泊めてくれるところないっスかねー」
「…ちょっと待って下さいね」
3分後、お姉さんもどってきて
「3,000円くらいでもいいですか?」
安くなってる。
悪いわけがないので即決。お姉さん最高。
■13:00■
紹介された宿に移動。駅から3分、海まで1分の好立地。案内された部屋は本館と繋がった別棟で、宿泊部屋はおれらの泊まる二階の一部屋のみ、一階には風呂とトイレ。なんたる贅沢。12畳敷の部屋に通され、先ずは熱いお茶を一杯。なんたる贅沢。ああ。
■13:30■
駅前散策。すぐ近くに海を感じつつぶらぶら。せっかく海に来たのだからと寿司屋でランチを食べる事にする。アジ丼。アナゴ丼。握りずし。各980円。それに鉄火巻を追加してがつがつと食う。ひたすら旨い。
とにかくいい天気だったので近所で水着を購入。宿で着替えて砂浜に向かう。海。盆も明けた海水浴場は空いている。首まで海水に浸かった状態でキャッチボールをしたりえびを砂浜に埋めたりして楽しむ。
2時間遊び倒して午後5:00、宿に戻って入浴。やはり貸し切り状態。
湯温はやたらと高くえびが茹で上がる。
風呂あがりで仮眠をとっている皇帝を部屋のテレビのアダルトチャンネル大音量で起こし、夜の街へ。
■19:30■
海鮮や干物のメニューにひかれて串焼き屋に乗り込み、旅と女とホネストについて大いに語る。
酒を飲めないえびはひとりコーラで乾杯。蝶野似のいかつい店主にコーラはからだに良くないから飲み過ぎるなと注意される。
ビールと冷酒をぶち込んで次の店に流れる。ここちよく疲れた体に酒がしみる。
居酒屋の奥で若干エキセントリックな女性、通称「ピーマン」に遭遇。
酒屋で仕入れた伊豆の地酒を手に、宿で呑み直すことにする。まだ23:00。つまみを買おうと立ち寄ったコンビニで気持ち良く酔った2人連れの女性に出会い、連れ出して一緒に呑もうと画策。
皇帝曰く「おれは背の高いコの方っ」おれ曰く「おれは背の低いコの方っ」
話し掛けるタイミングを見計らっているウチに彼女らの知り合いのおとこが入店し消沈。
宿でごろごろしながらまた呑む。何の話をしていたかはここには書けない。
全く呑んでいないえびが真先に熟睡。続けて運転役で疲れている皇帝が轟沈。
えびと皇帝が寝入ってしまったので、浴衣のままぶらりと宿を出る。
物凄い強風で吹き飛ばされそうだ。
海沿いの道まで出て自販機で缶コーヒーを買ってその場で飲む。人通りは全く無く、この一瞬だけ伊東はおれのものに。真っ暗な海を眺めているうちになんかいろいろ考えそうになってきたので帰る。
日付けが変わっていた。
■明けて24日朝8:00■
朝風呂に入る。貸し切り状態。10:00にチェックアウトし、海岸を散歩。
■11:00■
海近くの洋食屋でランチを食べ伊東を後に。海岸沿いに北上、熱海に向かう。
■13:00■
熱海に到着。駅前の駐車場にスーパービュー踊り子を置いてタクシーで移動、展望台に上って熱海温泉郷をぼんやり眺める。トンビの餌付けに感動。
下りはロープウェイにて。また熱海駅に戻り、土産物など購入。渋滞など予想されるため、早めに東京に戻ることにする。さよなら熱海。
ひとに言えない話題で車中盛り上がる帰路。中野のレンタカー屋にスーパービュー踊り子を返したのはリミットぎりぎりの24日22:00。解散。
■22:30■
総武線に乗り換えて吉祥寺下車。馴染みの古本屋に寄り「天然まんが家」(本宮ひろ志の自伝。巻末には対談「北方謙三×本宮ひろ志」「大沢在昌×本宮ひろ志」の2本も収録された濃い一冊)を購入し、吉祥寺から自宅までだらだらと歩く。