■第九回 佐藤(仮)さん(家事手伝い)[前編]

三船「 もしもしー
佐藤「 もしもしー
三船「 あ、えと。三船です、どーもどーも
佐藤「 佐藤ですーはじめまして
三船「 いや、どーもはじめまひせうおっほ
佐藤「 大丈夫ですか
三船「 むせました。えふっ
佐藤「 ゆっくりでいいですから
三船「 はい。なんかいきなりスミマセン
佐藤「 いえいえ
三船「 えーと
佐藤「 はい
三船「 えー。毎回そうなんですけれど、最初に、どう話を切り出したらいいのか悩みます
佐藤「 あはは。そうですよねえ。知らない人だし。私もちょっと困ってます、いま
三船「 ああ…スミマセン
佐藤「 いえいえ
三船「 で、えーと。…どうしましょう
佐藤「 あはは。なに話したらいいですか?これまではどんな話を
三船「 いや、それがですね、
佐藤「 はい
三船「 毎回毎回ばらばらで。あーそうか!
佐藤「 はい?
三船「 なんかテーマを決めればよかったですね
佐藤「 テーマ
三船「 うん。あの、例えばね、毎回、絶対に同じ質問するとか
佐藤「 あー…なるほど
三船「 会話に困ったら、その質問をするようにしておけばいいんだ。そうだそうだ。そうしよう
佐藤「 例えば?
三船「 例えば…そうだなあ。初対面の相手に投げかける質問ですからねえ
佐藤「 …好きな芸能人とか
三船「 …芸能関係ヨワイんですが
佐藤「 …好きな歌とか歌手とかも
三船「 …ヨワイんです
佐藤「 …好きな…食べ物?
三船「 好き嫌いなくなんでも食べます。酒も呑みます
佐藤「 あ、じゃ食べ物でいいじゃないですか
三船「 「好きな食べ物はなんですか?」って。そうか、これだったら誰でも答えてくれそうだなあ
佐藤「 三船さんもそこから話を広げやすいんじゃないですか?
三船「 確かに。あ、いや、
佐藤「 はい?
三船「 そういえば昔、初対面の女性に「好きな食べ物」を聞いて、それ以上会話が続かなくなってしまったことがありました
佐藤「 えー?なぜ
三船「 いや、友達の紹介で会った女性にね、やっぱり話の取っ掛かりを作るために聞いたんですよ「好きな食べ物」
佐藤「 はい
三船「 で、返ってきた答えがですね
佐藤「 ええ
三船「 コハダ
佐藤「 コハダ…お寿司の?渋いですね。その人は下町の御隠居かなにかですか
三船「 いえ、20台前半の女の子でした
佐藤「 はあ…
三船「 リアクション困りますよ。「お寿司」とかならまだわかるんだけど、単品のネタで。しかも「トロ!」とか「ウニ!」とかじゃなく
佐藤「 コハダ
三船「 はい。適当な会話で返せなくって、「あー。美味しいよね」とか言っちゃいましたよ
佐藤「 あははは。会話、終わってますね
三船「 そうなんです。まあこれは特殊な例だとは思うけど
佐藤「 大丈夫な質問だと思いますよ、好きな食べ物
三船「 ですよねえ
佐藤「 その話題をうまく切っ掛けにして、次の話題を引っ張り出すようにしなきゃですね
三船「 頑張ります。って、聞き手が励まされてどうするんだろう。あ、というかもしかしたら今回、佐藤さんの話を何も聞いていないんじゃないでしょうか
佐藤「 あはは。そういえばそうですねえ
三船「 自分の話をするのはお嫌いですか?
佐藤「 いや、そんな事はないですよ
三船「 じゃやっぱり僕の会話スキルが低いという事か…
佐藤「 いやそんなに自信なくさなくても…
三船「 うーん。よし、じゃとりあえず
佐藤「 はい
三船「 一度仕切り直して、最初から録りなおしましょう
佐藤「 あはははは、はは、ずるいなあ
三船「 ははは。だって。長々話した割りに、内容がないよ
佐藤「 しゃれですか
三船「 いや。そんなつもりでは。とりあえず一度電話切りますね。すぐにこちらからかけなおしますけど
佐藤「 あははは。了解しました
収録・2005年4月

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